結局何もする事がなく、いつものように依頼者と向き合う形でソファーに座るだけ。




話を聞く係、でいっか。




「………………」




依頼者はサラサラとその紙にペンを走らせる。



見た感じ……40代後半くらい?



その顔は少し焦っているようで不安そうな。



そして顔に涙を流した跡があるから




(………覚悟しないと)




きっとツラい内容だと思う。




「………書けました」


「あっ、ありがとうございます。では拝見させていただきますね…」




その紙を受け取ると




(えっ、また?)




再びベルが鳴る。



連続して依頼者が来るなんて
すごく珍しい。





「俺行ってくるわ」




隣にいた蒼空さんが下へと降りて行った。




どんな依頼者なのか気になるけれど

私はこっちに集中しなきゃ。




書いてもらった紙に目を通す。


その文字は親を思い出すような、
大人の文字。