「あー、帰ってきちゃった」
「は?なに。てかなんでコイツいんの」
訳がわからないとでも言いたげな表情を浮かべる彼の手は、何も持っていない。
あれ、呼び出されていたんじゃ?
「チョコ、受け取らなかったんだ…」
そんな事を呟くと
「あー、コイツ毎年受け取らねーんだよなあ」
私の近くにいた男の人がそう言った。
「甘い物苦手だって言ってさ。」
「えっ、そうなんですか」
「マジマジ。チョコ好きなくせに受け取らねーの。もったいねーよなあ」
それで、甘い物苦手だっていう噂が広まったわけか。
「蒼空が帰って来るまでの間、お喋りしない?って私が誘ったの。」
「あぁ…そう。」
華さんに説明を受けて、納得した様子を見せる蒼空さんと、目が合った。
「甘い物、苦手なんだ?」
「は?」
少し、意地悪っぽく言ってやった。
違う言い方で言えば、いじってる。
受け取ってないって聞いて、ちょっと嬉しくなっちゃって。
ニヤニヤと笑ってやれば、イラッとした顔を見せる蒼空さんはやっぱり短気だ。



