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優さんとその後












《蒼空side》





自販機で飲み物を買っていた時



後ろに人の気配がして

ゆっくりと振り向く。




「………、なに?」

「…………………」

「お前の顔見たくねーんだけど」




片頬を真っ赤に染める、アイツの姿。



その赤らみは、華にビンタされたからだろう。




未だに赤みがひいていないその部分に、よっぽど強い力で叩いたんだなと再度認識する。




ただ後ろに立っているだけで

何も言ってこないコイツに、怪訝に思いながらも再び自販機に目線を移した。



ピッ、とボタンを押すと

大きな音を立ててガコンッと飲み物が落ちて来た音。




「………、なんて?」




後ろにいたコイツが何かを言った気がしたけれど、その音のせいで聞こえなかった。



いや、コイツの声が小さいせいだ。




「………ごめん、」

「…………………」




俺が聞こえないと言ったから、再び同じ言葉を繰り返したコイツ。




今度はハッキリと聞こえたけれど


その言葉に、イラっとしてしまった。




「で?」

「…………………」

「それだけを言いにきたわけ?」




申し訳なさそうな表情を浮かべるソイツに、目線を移す。



考えているのか、なかなか言葉を発しようとしないから、呆れて溜め息が出た。




「言うことまとめてから来いよ」




わざわざ目線を移したのに、時間の無駄だわ。



再び自販機の方に身体を向けて、出てきた飲み物を拾う。


冷たいその飲み物は、徐々に俺の手を冷たくさせていく。




「………、…華の事しか考えてなかった。」

「…………………」

「ごめん……」






………イラッ。





無意識に身体が動いて


コイツの胸ぐらを掴む。




その瞬間、持っていた缶ジュースが音をたてて地面に落ちた。