「………いろんな人に、声かけられた?」
「え…?」
一瞬、何の話だろうと思った。
けれどすぐにその言葉の意味を理解する。
「あー…うん、かけられた。」
グランプリを取った後の話をしているんだと。
「でも全部断っ……っ!?」
全部断ったよ。
そう言うつもりだったのに。
言い終わる前に優は私の首元に噛み付いた。
軽い痛みが首元に走って
その痛さに顔を歪める。
「優っ…、痛い…」
ギュッと掴まれている手首も痛い。
噛みつかれた首元も痛い。
片方の手は自由だったから、その手でしがみつくようにして優の服をギュッと握る。
やっと離れたかと思えば
目は変わらず冷たい目をしていてー
「もしかして…妬いてるの?」
そんな気がした。
私が男の人に声をかけられたりしたから?
「…………………」
何も言わない優に
私は優しく抱きしめた。
「…大丈夫、優が不安になるようなことは一切ないよ。全部断ってるから。」
この時は、嫉妬するくらい私のことが好きなんだと思った。
そう思うと、とても愛おしく感じて
いつも優しい優が取り乱しているから
初めて見るこんな姿に嬉しい気持ちもあった。
(……チケットはまた今度言おう)
出そうとしたソレをポケットの奥へとしまう。
今は、優の不安になっているその気持ちを晴らすのが先だと思って。



