ブツッ…と電話を切った音。
その音で電話が終わったのだと知る。
「ごめん……私ただ見てるだけだった…
怪しいと思ったらすぐに止めに入るべきだよね…」
なんだか蒼空さんの顔が見れなくて、俯いたままそう言った。
ギシッと床の軋む音。
視界が暗くなって、近くに蒼空さんが来たんだと気づく。
「はぁ…」
溜め息が聞こえ、怒られると思い自然と身体が強張った。
ーーーけれど、それは全く違って。
「なんもなくてよかったわ…」
「っ、」
なぜか、抱きしめられてる。
フワリと蒼空さんの香り。
……私の好きな香り。
ギュウゥと少し強い力で抱きしめられているけれど、全く苦しくはなくて、ただただ心地良いその空間。
「アイツが何を企んでいるのかわかんねーけど、次また絡まれたら速攻逃げるか俺を呼べ。わかったな?」
「う、ん……」
「ん、約束。」
ポンポンと頭を優しく叩かれる。
その瞬間、一階の方から声が聞こえて、心音さんと陽葵さんが帰ってきた。
「あー疲れたぁ!!」と2階に上がって来た心音さんに、蒼空さんは「どこ行ってたんだよ」と私に背を向ける。
……何事もなかったかのように。
(心配、してくれたんだ…)
ボゥ…っと蒼空さんの背中を眺めた。
なんだか好きな人に心配されるのって、ちょっぴり嬉しい。



