「声とかは何も聞こえなかったんで…、ほんと、たまたま見ちゃっただけです…」
言い訳のように聞こえるかもしれないけど、本当のこと。
勘違いされても困るから、素直にそう言った。
「………………」
うっ…、無言が1番怖い……
そんなに見られちゃいけないものだったのか。
それならもっと他の場所にしてよ…なんて、心の中で文句を言っていれば
「そーいえば、カフェどうだった?」
「えっ?」
「俺が紹介したカフェ」
急に、話が変わる。
本当に急すぎて、一瞬戸惑ってしまった。
「あっ、えと…凄く良かったです。」
「誰か、キミの知り合いはいた?」
「知り合い…ですか?」
なんでそんな事を聞くんだろう…?
聞いてどうするんだ、って疑問に思うも、頭の中では華さんの姿が思い浮かぶ。
「あー…」
華さんが働いてましたよって、言おうとした。
ーーーだけど
この人にはなんだか言ってはいけない気がして、すぐに口を紡ぐ。
「いえ、いませんでしたよ」
「あー…そうなんだ」
「なんでそんな事聞くんですか?」
「そのカフェ、ここの大学に通ってる人結構行ってるみたいでさ。もしかしたら知り合いに会ったかもしれないな~って思って。
俺が紹介した場所だし、せっかくのデートなのに他の人に邪魔されちゃ可哀想だからね。
まあ、会ってないみたいだし良かったよ。」
ニコッと笑顔を見せる優さん。
けれど、ジッと私を見る目は、とても冷たい。



