「だって…、お似合いだって思われたいんだもん…」
「誰に?」
「……周りの人に」
蒼空さんと華さんが2人並ぶとキラキラ光って見えるように、私もそう見られたくて…
「そんな事気にしてんのか」
「そんな事って…!
蒼空さん異常にモテるんだから、気にするに決まって……っ、」
チュッ、と触れるだけのキス。
最後まで言わせない、そう告げられているかのように一瞬だけ触れたそれ。
「周りの目なんて気にすんな。お前はそのままでいーんだよ」
「っーー、」
「そんなお前を好きになったんだから。」
照れ臭そうに、けれど優しい目。
そんな表情で柔らかく笑うものだから
(ズルい……)
こんな時に、初めて見るその笑み。
蒼空さんの言葉の全てが私の心に溶け込んでいくー。
「は、何その顔」
「………………」
「泣きそうになってんじゃん」
「な、なってないし…!」
不安なんて、消えて無くなってた。
欲しい言葉をかけてくれたから、肩の力が抜けた気がして…泣きそうになる。
「映画でバカほど泣いてたのに、まだ泣けるのな」
「うっるさい…」
「まぁ、そーゆーところがお前らしいけど」
ギュウ、と抱きしめられれば、一瞬にして私の好きな香りに包み込まれる。
……この場所、すごく落ち着く。
私も蒼空さんの背中に手を回して、
「………大好き」
聞こえるか、聞こえないか
照れ臭くてそれくらい小さな声で呟いた。
きっと蒼空さんは聞こえていないと思うけど、その瞬間、抱きしめる力が強くなった気がしたんだ。