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「……なにか、良いことでもあったんですか?」
「えっ!?わ、分かる…?」
次の日、昨日と同じ時間に出勤すると
湊くんは私の顔を見てそう言った。
「ずっとニヤニヤしているので……」
いけない、いけない。
勝手に口角が上がってたみたいだ。
両手で頬を叩けば、
湊くんはギョッと驚いた顔をした。
ニヤける顔を落ち着かせようとしたんだけど、
普通に痛かった……
ヒリヒリとする頬。
でもそのおかげでニヤける顔は落ち着いたみたい。
「どう?ニヤけてないよね?」
確認してもらおうと湊くんに顔を向ければ
「あ………はい…」
少し近かったその距離に湊くんは一歩後ろに下がる。
「ヘラヘラした顔で接客なんて怒られちゃうもんね~」
働いてる間、常にニヤニヤしないように頑張らないと。
「……あの、月姫さ……」
「オープンするよー!!」
浅川さんの声。
時間を見れば、すでに10時になっていた。
「ん? なに?」
「………いえ」
湊くん、何か言いかけていたような気がしたけど…
特に何もないみたいで、
どうやら気のせいらしい。



