「月姫!!おはよ!」
「あ、おはよ~」
駅を出て大学に向かっている最中、同じ歳の千恵(チエ)が私の肩を叩いて横を歩く。
「また始まっちゃったね」
「講義中お腹鳴っちゃうよ~」
「あははっ!本当にそれ心配」
たわいない会話をしていればすぐに大学に着いてしまった。
「あっ!桜井さんいるよ!」
その途中に千恵が耳元でそう呟いた。千恵が言う桜井さんとは、…蒼空さんのこと。
桜井蒼空
それが蒼空さんのフルネーム。
「カッコいいよね~ほんと同じ所で働けてる月姫が羨ましいよ」
「そんなことないって。全然恋愛対象に入らないよあんな奴」
「えー?ホント?…あ、でもあの女の人」
千恵が指差す先にはさっきまで近くにいた蒼空さん。…と、茶色のロングヘアーでとても綺麗な女の人。
「よく桜井さんと一緒にいるところ見かけるよね~」
「…ふうん。そうなんだ」
「え?知らなかったの?」
目線を逸らして携帯を見つめる。だって別に興味ないし。
「まあでも桜井さんの近くっていつも綺麗な女の人ばっかいるけど」
そう。蒼空さんって案外モテる。皆あの性格を知らないからカッコいいと思うんだろう。
私達意外にも周りは蒼空さんの話題。久々に見れた~とか、いつ見てもカッコいい~とか。…私は見飽きたよ。
「それにしても本当にカッコいい~……ってアンタは何調べてんの?」
「んー…ちょっとね」
携帯をいじっていると千恵が覗き込んだ。
「”川に落とした物を見つける方法?”」
「あ!ちょっと勝手に見ないでよ!!」
「ふーん、今度の依頼はそれなんだ?」
大変そう…なんて顔をする千恵に、溜め息をついた。
「うん……まあ」
蒼空さんの人気とかどうでもいいけど、まず早く指輪を探さないと。
(あー…でもあの川に入るのヤダな…)
早く見つけて終わらせたい。だって寒いし…。最高で一ヶ月。それまでにどうしても見つけてあげたいとは思ってる。



