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「ん。悪かったって……」
(…?話し声がする…)
誰かの話し声が聞こえてゆっくりと目を覚ました。眩しい光が差し込み、もう朝だということに気づく。
布団の中には私しかいなくて、話し声がする方に目線を向ければ
「ああ…分かった」
携帯を耳にあてて背を向ける蒼空さんがいた。
「今日は寄るから。……ん、じゃあな。」
電話を終えたのか、耳から携帯を離して溜め息をつく蒼空さん。振り向いた彼はとても深刻そうな表情をしていた。
「……、…なんだ、起きてたのか。」
私に気づいた蒼空さんは驚きもせずに私のそばへと近寄る。
「熱は?」
「……え、あ…ない、と思う…」
その場にしゃがんだ蒼空さんは私の額に手をあてる。
「…今日お前講義あんの?」
「あるよ、朝から」
私と蒼空さんは意外にも同じ大学だったりする。私は1回生、蒼空さんは4回生だ。
「ふーん、まあ行くか行かないかは自分で決めろ。ただ、無理すんなよ。これ以上俺のシフト増やしたらしばくからな」
「っ、ちょっ…と!?」
ワシャワシャと私の頭を撫でてから蒼空さんは二階に下りて行く。…優しいのか優しくないのか、良く分からない人だ。
「朝ご飯どうするの?」
私も外出用の服って言っても昨日の服のままなのだが、それに着替えて二階に下りた。
「俺は一旦家に帰るわ」
アウターを羽織りもう事務所から出る準備をする蒼空さん。
「……さっき、誰と話してたの?」
”今日は寄るから”なんて言ってた蒼空さんだけど、何か用事があるのかな。
(深刻そうな顔してたし。)
「お母さん?お父さん?……まさか彼女とか??」
ニヤニヤと笑いながら冗談混じりでそう聞く。
こんな奴に彼女とかいるように見えないし、多分「うるせぇチビ!」とか言って怒るんだろうな~
…なんて予想は大ハズレ。
「……お前に関係ねーだろ」
「え?あ…ちょっ!!」
ウザい。そんな顔をして事務所を出て行ってしまった蒼空さん。
(な、な、なんなのアイツ……!!)
別に教えてくれてもいいじゃんっ!!
窓から外を歩く蒼空さんを眺めてブーイングしていれば、寒そうに身体を縮こまらせてまた誰かと電話している。
(…昨日勝手に抱き締めてきたくせに…)
思い出すと何故か恥ずかしくて変な気持ちになる。
机の上に置かれた苺パンは多分昨日蒼空さんが買った物。その隣に薬が置いてあるから私の為に買ってくれたのだろう。
(……ほんと良く分からない)
…嬉しいなんて思ってしまう私も良く分からない。



