「ねっ、付き合ってる事小林も知ってるの?」


「……言ってないけど?」


「言ったら発狂しそうだね」


「それはないって~」




小林の話でケラケラと笑いながら、
そのデパートの中を歩いていると




「……あれ?あれって、桜井さんじゃない?」


「っ!ど、どこ?」





いつも蒼空さんを見つけるのは千恵で


今回もその姿を見つけたのは千恵だった。



すごいな…蒼空さん用のアンテナでも立ってるのかな




「ほら、あそこ」




千恵が指差す先を見れば、



(華さん……)



蒼空さんの姿と共に、華さんの姿。


何やら買い物に来ているようだった。




「あの人って、大学で一緒にいる人だよね?」


「うん…」


「大学以外でも会ったりしてるんだね。
…いいの?月姫。」


「…………………」




千恵にはあの依頼主が華さんだって事を言っていないため、仕事だということを知らない。



(仕事…だよね?)



一緒にいるところを見てしまうと、


依頼の件だってことを理解しているつもりなのに、嫌なことばかり考えてしまう。




「……うん、大丈夫。」


「……そ?」




心配されると、余計に不安になってしまうから無理矢理笑顔を作った。