「だって、大学で桜井さん見つけると、
前までは興味ないって見もしなかったのに

最近じゃ、ジーーーっと長く見つめてるんだもん」


「う、うそ……」


「月姫って結構分かりやすいよ」


「うっ……」




蒼空さんにもそんな事言われたな…




「でもさ~その依頼なんか厄介だね」


「え…なんで?」




華さんの名前は出さなかったけど、


そんな依頼がある、と千恵に相談すれば
思ってもいなかった言葉が返ってきた。




「本当にストーカーなんているのかな?
嘘ついて桜井さんに近寄ろうとしただけとか」


「まさか~、そんな人じゃないと思う」




だって、この前の電話
何かに怯えているような様子だったし。




「ま、私はソレについて何も言えないけどさ。

この世には、そーやってずる賢く近寄って来る人もいるからね」


「うーん。一応、頭の片隅に入れとくよ」




千恵はそう言う風に言ってくるけれど


華さんの顔を思い返せば、
ニコッと優しく微笑むその顔に、裏はないはず。