「蒼空さーん。手伝いに来たよー…って、いないじゃん」




言われた通りに一階に降りてきた私は、蒼空さんを探すけれど、見当たらない。



一階にいるって言ってたのに…



この場はシーンと静まっていて、時計の音だけが鳴り響いていた。



(もしかして、外?)



事務所のドアを開けてガレージに出ると、予想は的中した。




「二階、終わったのか」


「うん。だから手伝いに来た」




外で作業をしていた蒼空さんは、どうやらクリスマスの時に飾りつけした物の片付けをしているらしい。




「クリスマス一瞬で終わっちゃったね」


「すぐ片付けるのに、飾り付けする意味あんのかよ」


「雰囲気だけでも味わいたいんだよ」




いつも飾り付けを提案するのは陽葵さんで、


毎年飾り付けをした事務所を見て嬉しそうに微笑むから、その作業に後悔した事はない。


まあ、片付けるのが結構大変なんだけどね。




「じゃー、お前はツリーのところな。
届かねーところは置いといていいから」


「はーい」 




言われた通りに、ツリーに付いているオーナメントを外し始める。


蒼空さんは、私が届かないであろう、壁に取り付けられたイルミネーションカーテンを外していく。


すんなりとソレを外す姿を見て、



(私ももう少し身長高かったらなぁ)



と、ツリーの上あたりを見つめた。