「今日は暇ですね~」




ブラインドを上げて窓を開ける。
少しひんやりとした風が室内に吹き渡り、「さむっ」と声を漏らして外を眺めた。




「河川敷にも誰もいないし、今日はもう閉めちゃってもいいんじゃないですか?」




茶色の髪の毛が風によってなびく。



後ろに振り向き、コーヒーをすすりながらパソコンを眺めている陽葵(ヒマリ)さんにそう尋ねた。




「ん~そうだね~あと二時間は待ってようか」

「二時間って…結局閉店時間じゃん」




嫌そうな顔をする私に対し、陽葵さんはニコニコと笑う。



常に笑顔なこの人は、結構年配の男性で、ここ『何でも屋』の社長でもあるのだ。社長だからこそ、逆らえないのは事実。




「おい!寒いんだよ!閉めろ!」

「ぎゃっ!ちょっと危ないじゃない!!」




バンッッ!!と大きな音をたてて勢い良く閉められた窓。




「この時期に窓なんて開けんなボケ!!」

「空気を入れ替えようとしただけでしょ!?それぐらい我慢しなさいよ!」

「そんな新鮮な空気吸いたかったら外に出ろチビ!!」




窓を開けただけで大激怒なこの彼は『何でも屋』のアルバイト歴4年目の蒼空(ソラ)さん。



こんな些細な事で大激怒をする彼だが、




「……くたばればいいのに」

「あ”ぁ?なんか言ったか」




一応先輩の為この人もあまり逆らわないようにはしてるつもりだ。