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冬至 芙美乃。
被服科、1年A組。出席番号19番。
学級委員長。
――それが、今のわたし。
チャイムが鳴った。
キンコンカンのではなく、美しい自然音。
ストレスのかかりやすい環境下でも、リラックス効果をもたらすためだとかなんとか。そんなところまで先鋭的でなくてもいいのに。
ここの生徒になってもうすぐ半年。いやでも慣れる。
縦長のロッカーから掃除用具を取り出した。
今週はわたしの班が教室の掃除をすることになっている。
出席番号順につくられた班は、真面目と不真面目が極端に分かれている。
わたしは当然、前者。
後者の男女4人は、ホウキ片手にくっちゃべっている。学級委員として注意しても、同じところを永遠と掃くだけ。根はいい子たちなのだけれど。
チャイムでリラックスしすぎてるなら、逆効果じゃないか。
少し、むかむかする。
たぶん、生理2日目なせいだ。
ガラガラッ!
力任せに教室の扉がスライドされた。せっかく集めた埃が舞う。
犯人は担任の先生だ。
ガタイがいい割に手先が器用なことで有名な彼は、その器用さを微塵も感じさせずにゴミの塊を踏みつぶしていく。
不真面目な4人のうちの1人、渡辺さんという女子に満面の笑みで駆け寄ると、とある用紙を見せた。
「渡辺! やったぞ! 例のコンテスト、金賞だ!」
「え……! うそ! まじ!?」
例の、というと、夏休み前に締め切りのあったアレだろうか。