「良かったじゃ~ん。朝から彼氏に会えて」

「ちょっ!沙由!!ほんとやめて!」

「はいはいっ、ほら行くよ」




”彼氏”


このワードを強調して言った沙由に顔が赤くなる。




(てか別に神茂だっていつもと変わりないんだから)




私だっていつものようにしていればいいだけ。




……なーんて思っていたけど。




(なに、自分きもっ!!)




毎時間のように目線が神茂に向く私。




チラッと見れば、ハッと見ていることに気づいて逸らすも、また見てしまう…




(恐るべき恋の力だな…)




私、こんなにも神茂の事が好きなんだなぁ…なんて思う。




「おい。」

「………えっ、あ、なに?」




ボーっとしていれば、突如目の前に神茂が現れた。




「飯、食べに行くぞ」

「もうそんな時間?待ってて用意するから」




そう言ってカバンの中を探っていた時だった。


ガッと肩を掴まれて、何事かと思って振り向けば




「ごっめーん由羅。今日私と蒼井ちょっと用事あるから二人で食べてねー」

「へっ!?あ、ちょっと沙由…っ」




棒読みがまるわかりの沙由は私を置いて教室を飛び出していった。