キスされた。しかも相手は不良の神茂。

私、何かしたのだろうか。




「ゆーら。何ボーっとしてんの?ご飯食べるよ」

「あ、うん。食べよ食べよ」




ドンッ、と机の上に出された巨大な弁当箱。



さすが幼馴染の荒木沙由(アラキサユ)の食欲は素晴らしい。いっぱい食べるのにも関わらずに体型はモデル並み。



不公平だ。




「いっただっきまーす」




そんな沙由は、私が弁当をカバンから取り出し始めた瞬間にはもう食べ始めている。



それもいつもの事なので、特に焦りもしない私。



「(あ、あったあった弁当。)」



カバンの中を手探りで探して、オレンジ色の巾着に入った弁当箱を取り出した。

直後。そうほんとその瞬間。




「おい。」




低い声。それと共に視界が薄暗くなる。そして目線の先は着ダルそうに着用された制服。


徐々に目線を上へ上へとあげていけば、眉間にシワを沢山寄せた、



「………はい?」



昨日の、あいつ。

私の唇を奪った本人、不良の神茂が、不機嫌そうに目の前に立っていたのだ。