「はぁ…」と、溜め息を漏らす私。




ふと、気がついて周りを見渡せば、そこはもう見慣れた景色。




と。




(………なに、あれ)




私の家の前に、犬のお面を付けた誰かが…いる。




ヤンキー座りでその場に座り、私の家の玄関を塞ぐ、誰か。




「……すいません、誰、ですか?」

「……………」




私の声に気がついたのか、その人はゆっくりと顔をあげた。




お面を付けられていては誰なのかは分からない。




「あの…親に用ですか?それなら今は留守なんで……」




どいてくれないと中に入れない。



強引にでも入ろうか、そう思いカバンから鍵を取り出した直後。




「…………神崎サン」

「え?」




一瞬、身体がビクッと震えた。


この声……




「…神崎由羅サン、に、用があります」




その場から立ち上がり、私の目の前に立つ。




その人の耳には




キラリと輝く十字架のピアス