「あ!神崎さんだ」
そんな中、私に話しかけた女の子が二人。
確か、同じクラスだった気がする。
「どうしたの?」
その二人に駆け寄れば、二人はお互いに目を合わせてクスリと笑い始めた。
「神崎さんって、あの不良と付き合ってるの?」
「最近ずっと一緒に居るしさ、気になって」
”あの不良”
「ああ、神茂?」
「そうだよ~不良って言われたら神茂しかいないでしょ!」
「ねぇ~」
そうだった。
皆は神茂の事を不良だと思ってるんだった。
一瞬、誰の事かと考えてしまった私。
私の中じゃもう、神茂が不良だという自覚がない。
「付き合ってないよ」
私は微笑んでそう返事をする。
「だよね~そうだと思った!」
どうやら思い通りだったみたいで
その二人は廊下中に響き渡るような声で笑う。
「(すごく見られてる気がする…)」
そのせいで廊下にいた人達から目線を感じるが、
私も二人に合わせて笑顔を作るしかなかった。
…だけど
「神崎さん付きまとわれてるんだ?可哀想に~」
笑いながら言われたそれ。
その言葉に、何故かムッとしてしまった自分がいる。



