照れ屋な不良くん






近づいたら押されて離されるし


見るなと言われて目を隠されるし




パンが食べ終われば「用があるから」と、私を置いて出て行くし




「(意味わかんない)」




何故かモヤモヤしてしまう。



弁当を片手に持って、1人で廊下を歩く私。




用があると言ってたけど、絶対ウソ。


確実に私を避けるための口実なんじゃないの?




「(私何かしたっけ?)」

「(……てか、もういいか。アイツの事考える必要なんて無いし)」




やめやめ、と首を振る。




「(神茂との関係が始まる前に戻ったと思えばいい。)」




”好き”じゃないんだから。


………”好き”?




「(………あれ?)」




突如、ドクンと心臓が高鳴った気がした。




「(……いや、まさか。…違う、絶対ない)」




ギュッと弁当を持つ手に力がこもった。



ドクンドクン、と速まる鼓動。


何故か身体中が熱くなる。




「(違う違う違う。惹かれてなんてない…!)」