その突如、私を見て一瞬驚いた表情を浮かべた神茂だが、
「っ!」
素早く顔を手で覆う。
「近寄んな!」
「わっ!」
その瞬間
ドンッ、と鈍い音と共に壁にぶつかる私。
「イタタ…」
今…押された?
左肩部分が少し痛い。
「…わ、悪い!大丈夫か!?」
「……大丈夫…だけど」
私のそばに駆け寄った彼が、ホッと安心した表情を浮かべる。
「(なんで押されたんだろ…近づいただけなのに)」
目を細め、
神茂を見つめていれば、
彼はその視線に気づき焦り始めて
「んなっ、ちょっ、なに!」
一瞬にして私の視界が暗くなった。
「……そんなに見んな…」
弱々しい声。
目元にある神茂の手の感触。
「(今日の神茂、どうしたんだろう。)」



