「………せんせー」




気づけば


その絆創膏に手を伸ばして、3枚くらい握りしめていた私自身。




「絆創膏、貰っていいですか?」




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ジャーー水が流れ出る音。




「やっぱりここにいた」




息を切らしながらも呟けば


水道の前に立つ彼が振り向く。




「………なんだよ。」

「これ」




不機嫌、まさにその状態の神茂


けど、蛇口から出る水を右手首に出来た傷口に当てているのが見えた。



透明な水が、少し赤く染まる。




「使ってよ」

「は?……いらね」




私が差し出すそれが絆創膏だと知った彼は


瞬時に眉根が寄って、ふいっと再びその蛇口の方へと目線を逸らす。




「(ほんと、こーゆー所が嫌い)」




苛立ちを覚えた私。彼の元へと近寄ってキュッと蛇口を捻ってやれば


水が止まり


神茂は驚いた表情を浮かべて顔を上げた。