完成した料理は凄く美味しく出来ていたが
冷めてしまっていて冷たかった。
「ごめん由羅、保健室寄っていい?」
「いーよ」
冷めきったそれを食べ終わると
その場帰宅となった私達のクラスは
一斉に家庭科室から出て行き、家庭科室は静けさを取り戻す。
「どうしたの?怪我?」
「包丁洗ってたら切っちゃった」
ほらっ、と見せられた人差し指
「(また随分と深く切ったな…)」
痛々しく深く切れてしまっているその指。
「(見せなくていいのに)」私は目を細めて、すぐ逸らした。
「せんせー絆創膏下さい」
保健室に着くと、入ったのと同時にそう言う沙由。
「ケガー?」と、なんの焦りも見せずに保健室の先生が沙由に近寄った。
説明する沙由を横目に、何もすることが無い私はとりあえず周りを見渡してその場で直立。
ふと。
棚の上に置かれた絆創膏を見つけて
「(そういえばアイツも)」
怪我してたかも。



