「…なんかあったのか?」
コソリと蒼井くんが耳元で囁いた。
「うん、ちょっとね」
「すっげぇ睨まれてるけど」
「………………」
チラリと見てみる
だが、目が合った瞬間に「チッ」と舌打ちされた。
さすがにそれはイラッときたし、私も眉根を寄せて睨む。
「おいおいなんなんだ一体!!」
そのダークな雰囲気を醸し出す私達に
蒼井くんが慌てふためていたのが目に映る
「(ほんと気に食わない…)」
神茂も同じ事を思っているだろう
「蒼井くん。席どこ?」
「あ、あっちあっち」
神茂から目を逸らし、少し安心したかのような顔を浮かべる蒼井くんが目に映る
向こうだと指差す先には、もう食べ始めている沙由。
「(待つって言葉を知らないのか…)」
呆れながらも、蒼井くんと神茂を背に彼女の元へと向かった。
後ろから睨まれている気はするが
気にしない事にしよう。



