そんな私の手を、彼が軽く掴み上げた。
「それはお前が決める事じゃねーだろ。嫌だと言っても、俺は自分の意思で動く。それだけだ」
「でも、私は……」
言い返そうとしたものの
再び言葉を遮られる。
「とりあえず、今はお礼を言う時なんじゃねーの」
意地悪く笑みを見せた彼に、私はハッと気がつく。
そういえば、言っていない。
「……、…ありがとう助かったよ」
「ん。」
手首を持つ手が離れ、私の頭を軽く撫でた。
彼は嬉しそうに微笑んでいて、不良とは思えない優しい笑みだった。
「ちょっと…もういいでしょ」
いつまで乗せてんの…
頭の上に乗せられている手をはらいのければ
「キスしてい?」
「は?」
「キス、したい」
私は自然と後ろへ後ずさる。
さっきの優しい笑みは何処へいったのやら。
今はお腹を空かせた狼のように、目を鋭くさせている神茂。
「(や、っばい)」
頭の上に置かれた手は、いつの間にか後部へとおりていて
「てゆーか…させろ」
一気に、顔と顔の距離がグッと縮まったー。



