戸惑う私に彼は言う
「呆然と見てられっかよ。」
「それでアンタが怪我したら意味ないじゃない…」
彼の右手首、確実お皿の破片で切れた痕だ。
くっきりと切れているそれに、じんわりと血が流れて出ている。
「私は…自分のせいで怪我とかして欲しくないの」
眉根を寄せて、彼を見る。
だけど彼は服に乗った小さな破片をはたいて、サラリと言う。
「俺は、いい。好きな女に怪我させるぐらいなら、俺が変わりにした方がマシだ」
「っ………」
言葉を、失ってしまう。
好きだからって、そんな事で自分の身体を傷つけているのに…
「私はイヤなの。…だからもう、こういう事はしないで」
これ以上に守られでもしたら
私は罪悪感ばかりで耐えられない。
「(傷口をどうにかしないと)」
そう思い自身の制服のポケット内を探る。



