その声と視線に
「(えっ……)」
自然と振り向こうとした身体が、一瞬にして床へと崩れ落ちた。
背中に軽い衝撃と重みを感じる。
ガシャーン!!と、いかにもお皿が割れた音。
その聞こえた方向に目線を向ければ、サァ…と血の気が引いた気がした。
「……っ、あ…」
無数にあるお皿の破片。
これは私がさっき無理矢理取った所の……
私の背中に感じるこの重みは
「(神、茂?)」
見上げれば、私の身体を覆いかぶさるようにして庇う、神茂がいた。
「……っ、ちょっと、うそっ…」
なんで、ここまでするの?
目を大きく見開かせる私に「大丈夫かよ」なんて彼は自分の事よりも私の事を心配した。
何事もなかったように平然とする彼を見て、また血の気が引く。
「(どうしよう、どうしよう…)」
私から離れていくと、お皿の破片が再び床に落ちる音がした。
たぶんそれは神茂の身体に乗っていたものだと思う。
「や、めてよ…こんなこと…っ」
漫画や、ドラマ
そういったものでこういう場面はよく見かけるけれど
実際体験してしまった私は
衝撃と罪悪感でしかない。



