「私はその可能性なんて無いよ。好きじゃないと付き合えない。だから、諦めて」




もうそろそろで昼休みは終わる。




「…………」




黙り込む神茂を前に、まだ食べかけの弁当だが、仕方がなく片付け始めた私。



…私の友達もよく言ってた。



つき合ってみたら案外相手の良いところとか分かるし、好きになっちゃう事もあるよ。って。


そんな事を聞いたって、好きでもない人とつき合うのは私にとって、


アリエナイ。




「(もう私に用は無いだろうし、帰っていいかな)」




弁当を片手にオレンジ色の巾着の中へ戻そうする際、今だに何も話さない神茂に、目線を送る。



直後。




「っ…!?」




私の身体が瞬時に前のめりになり、持っていた弁当が床へと叩きつけられた。

でも弁当なんて気にしていられない、状況だ。



突然の事に声すら出ない。


胸ぐらを神茂の手によって掴まれていて、その部分のカッターシャツはぐしゃぐしゃになっている。


それはヤンキーが誰かと喧嘩をする際によくあるあれ。




「(まって、私、殴られる?)」




至近距離には絶対キレている神茂の顔。


眉根を寄せる神茂が、とてもハッキリ見えた。