無口な彼の妬かせ方



「はっ?ちょ、おいっ!」


「っ」




呼び止める声が聞こえたものの、それを無視して無我夢中に走り出す。



綺麗に輝く景色の中で、泣いているのは私だけだろう。




「…うぅっ………」




涙のせいで、見えるのはボヤけて歪む景色。



人とぶつかっても、小さな声で謝りながら走る。



良い事なんて……ないじゃん…



翔を妬かせたいのが、私の小さな夢なのに。



それは、いつも失敗して。



私ばかりが……妬いてる気がする。



こんなにも、嫉妬深いなんて知らなかった。




「………きゃっ…」


「待てって!」




ギュッと掴まれた腕。



痛いくらいに、強く握られる。




「いっ…や!離してっ……」




今の私は、翔に対して酷い言葉を言ってしまうかもしれない。



それが嫌なの……



だから、早く離して。