無口な彼の妬かせ方





「ん?」っと。そちらに目線を向けた翔は、



その人を見るなり、「ああっ!」なんて驚き気味に反応していた。




「ちょっとゴメン」




私にそう告げると、駆け寄るようにその人の方へ向かっていく。



女の子……だよね?



私と同じで、ストレートでまっすぐな髪の毛。



顔はよく見えないが、なんとなく、その子に見覚えがあって。



この子……知ってる……



パッと思い出したのが、翔にクッキーをあげていた、あの女の子だった。



顔を赤らめながら、翔に渡していた子。



忘れもしない、あの場面。



思い出しただけでも、胸が苦しくなっていく。




「翔…………」




か細い声で呼んでみても、翔は何も気付いていない。



ハハッと笑う翔の姿がよく見えた。



ズキン、と。



胸に何かが刺さったように痛くなって、下唇を噛み締める。



ねぇ……翔。



私といるよりも、その子といた方が楽しい?




「っ…………」





そんな風に、ネガティブ思考に考えてしまう。