「あっ。」
早瀬くんの発したその声につられて、パッと顔を上げた。
な、なに?
何かを見つけたように見つめる彼の視線の先を追ってみれば、
「あっ…………」
ボーッとしながら壁に寄りかかる、翔の姿。
「彼氏、いるよ?」
ニヤニヤと笑いながら私を見下ろす早瀬くん。
「う、うん………」
そうだね、って冷静に答えてみたものの。
内心、心臓がうるさいほどに高鳴っている。
しゃ、喋りかけずらい………
そんな思いとは裏腹に、どんどん距離は縮まっていく。
「っ…………」
どうしたら、いいの。
喋りかけた方がいいに決まってるけれど………
朝のあの事を引きずっている私にとっては、ちょっと話かけにくかった。
もし……無視でもされたら、私、立ち直れないかも。



