他の男と喋るな、だの。



遊びにいくな、だの。



そんな事、思っていたとしても言いたくない。



ウザいと思われるに決まってる。



そして………



いつかは、俺の隣にいないかもしれない。



そうなるのがすごく嫌なんだ。




「……………」




ゆっくり、ゆっくりと髪を撫でていく。



大切にしていたいんだよ……



ずっと笑っていられるように。



他の男のモノになんか、させるかつーの。




「……………」




少し経って、
俺はその手の動きをピタリと止めた。




「…………藍」




俺は小さな声で囁くように、コイツの名前を呼ぶ。



藍(アイ)なんて、初めて呼んだかもしれない。



ずっと、"お前"って呼んでたから。