無口な彼の妬かせ方








「………して」



「え?」




振り向く翔。




「………キス、して……」



「っ、」




こんな事を言葉にするのは初めてだ。




ずっと思っているだけで、
言葉にはしない。




でも今はなぜか




「して…翔…」




どうしても、して欲しくて。
触れたくて。




自分の中にあるモヤモヤを、全て消し去りたくて…。




1歩。
前に踏み出して、近づいた。




翔の驚く顔。




翔の服の袖をキュッと掴む私の手は、少し震えていた。




「………っ、」




目がまだ潤んでいて、翔の顔がゆらりと歪んで見える。




「っ…やめろ。そんな顔…すんなよ…」




戸惑った顔が、瞬時に見えた。




「っ……」




すぐにふりかかるように触れたそれ。




目を瞑ったときに、また涙が一粒零れ出た。