「そ、れで……。
キスされそうになって……」
その瞬間。
「っ!!」
左腕に軽い痛み。
翔の手が私の左腕を掴んでいた。
少し強い力のそれに、「いたっ…」と声が出る。
「…………誰に?」
「そ、れが…名前は、知らなくて。
ただ、告白されて、断ったら………」
翔の顔が、今までに見たこともないような怖い表情をしていた。
「そいつの顔、覚えてる?」
「えと……顔は、あまり覚えてなくて…。」
「………そう。」
出来れば、もう会いたくない。
顔も見たくない。
けど、あの上履きの色は私と同じ学年のだった。
「でも、唯ちゃんが助けてくれたから……」
”大丈夫”
その言葉をいい終わる前に、
「………ごめんな」
翔の発言が割り込む。



