無口な彼の妬かせ方






「………で、何しに来たの?」



「あ…えと……」




とくに何か理由があって来たわけではないけど…




ただ、会いたかった。
それが理由じゃダメかな。




あ。あと……




「っ…………」




脳内にさっきの出来事が思い浮かぶ。




その度に、身体中が冷たく冷えた。




「あ、のね……」




言った方がいいのか、
言わない方がいいのか。




迷って迷って、その結果。




「ん?」




私に顔を寄せて、緩く微笑む翔を見て。




「………っ、あのね…」




言おう。そう決めた。




「実は、さっき……
ある人に告白されて…っ、それで……」




思い出すたびに、気持ち悪さと身震い。




何かされたわけじゃないけど、あの口角をあげて笑う姿が本当に怖かった。




「………告白?」




ピク、と。
翔の眉根が動いた。