無口な彼の妬かせ方








「す、すぐ拭くね……」




「……………」





無言で、しかも真顔の翔。




私の作ったお粥の中にも水が入ったらしく、翔のスプーンを持つ手が止まっている。




私は急いで自分のカバンの中からタオルを取り出し、




拭こうと急いだ。が、





「いいよ。拭かなくて」





私のタオルを持つ手を掴む翔の手によって、私のその行動を阻まれる。





「ダメ。ちゃんと拭かせて」





私がこぼしたんだから、拭くのは当然の事。




しかも。早く拭かないと、どんどん服にしみていってるし…。




だけど、翔は一向に手を離す様子は見せなくて。





「そうじゃない。もう、俺風呂入るから。どうせ着替えるし」



「え?もう、お風呂入るの?」





まだ5時近く。




早すぎない?いつもこれぐらいに入ってるのかな。





「だからお湯、沸かしてきてくれない?スイッチ押すだけでいいから」




「わ、分かった!」





翔の言う通りに、私は部屋を出てお風呂場へと急いだ。




その間、翔はどうやらあの水が入ってしまって味が薄くぬるくなっているはずのお粥を全部食べたらしく。




私が部屋に帰って来た頃には、
お粥が綺麗になくなっていた。





「美味しかった。」





私の頭をポンッ、と優しく叩いてそう言う翔に、私はまた何度も翔に惚れるんだ。