プイッと方向転換した翔は、



私のことなんて気にせずにスタスタと歩いて行く。




「ま、待って!」




理由を聞こうと思って追いかけたつもりだったのだけど、



周りの人なんて視界に入ってなかった私は、ドンッと人にぶつかってしまう。




「す、すいませんっ…」




その反動で、持っていた物が全て落ちた。



やっちゃった………



翔の分のクッキーも、無残な形で落ちている。



綺麗にラッピングしたのに……
これじゃあ、意味がなくなった。



急いで落ちた物全て拾い集め、スクッと立ち上がる。



スカートについた砂をはたき落とし、パッと前を向いた。




「………いない」




もう、行っちゃったか……