「こんな物しかあげれなくて、ごめんな……」 俺がバイトでもしていたら、 ちゃんとした物を渡せたのにね。 なんて事を、頭を抱えて俯きながら言っていた翔。 こんな物って…… 私にとっては、 こんな物なんかじゃない。 最高のプレゼントだよ…。 それどころか。それ以上に、 翔が今日のこの記念日を、 覚えていたことが凄く嬉しかったの…。 「…………本当は、 こんな所で渡すつもりじゃなかった」 伸びてきた手が、 私の髪の毛をサラリと掴む。 指に絡ませて、弄ぶようにー。