無口な彼の妬かせ方





「藍っ!!」




いない事に気づいた瞬間。



後ろから大きな声で私を呼ぶ声。




「……っ…なに先に帰ろうとしてんの」




振り向けば、




「っ……、


だって…。


勉強の邪魔しちゃいけないと思って…」




ゼェゼェと息が荒れている翔の姿。



歪んだ眼鏡を掛け直した彼は、



はぁーっと大きく息を吐く。




「ご、ごめん……。」




前髪をグワッと掻き上げて、



眉根を寄せる翔に一瞬肩が跳ねた。



伝えておいてって頼んでたんだけど……



ちゃんと、伝えてくれたのかな?




「………焦ったぁ…」


「…っ!わっ!大丈夫!?」




ガクリとその場に座り込む翔に、



私は驚きながらも近寄る。