無口な彼の妬かせ方





「大学、か………」




高校を卒業すれば、



もう私達はバラバラになるのか。



お互いに違う大学に行って、



一緒にいれる時間も短く、少なくなっていく。



今みたいなこんな日常は、もうなくなってしまうのか。



夢はお互いに違って。



進むべき所も違う。



私以上に愛する人が出来てしまうのは、仕方が無いことなんだ。



趣味が合えば、その人に惹かれるだろう。



私のいない場所には新しい誰かがいる。



翔の周りにいる女の子は、私だけじゃない。




「………………」




まだまだ先のことを考えて。



ハッと我に返った私は、両頬をパチンと叩いた。




「ダメだ!ダメ」




ほんと、ネガティブ思考過ぎる。



もう考えるのはよそう…。



今は、この時を楽しく過ごせていればそれだけでいい。



俯いていた顔をあげて、



最後に一回だけ翔の姿を見ようとしたけれど。




「あ、れ?」




見えていた場所に、翔はいなかった。