無口な彼の妬かせ方





「えっ?


藍ちゃん。


いいの?翔待ってなくて」


「いいの。


私が待ってたら、翔、急いでしまうから。」




チラッ、ともう一度翔を見つめる。




「勉強の邪魔しちゃいそうで……」




久々の1人下校は悲しいけれど、



しょーがない。



明日から約三日間、我慢すればいいだけ…。




「じゃあね。」




渡された箱をしっかりと持つ蓮くん。



ヒラリと手を振れば、



蓮くんも戸惑いながら手を振る。



私も、勉強しないと…。



行きたい大学に行けないな。



ポツリと1人で学校を出ると、



強い日差しが肌に触れる。



見上げれば、見えるのは翔のいるクラス。



窓際に座る翔はここからよく見えた。




「頑張ってるな……」




まだ必死に勉強中の彼。



目指している大学があるから、必死なんだと思う。



まだ約一年はあるけれど、



そうとう上ランクの大学っぽい。