無口な彼の妬かせ方





けれど。



隠していたつもりのそれは見えていたみたいで、




「しょ、翔に作るんじゃないよっ!」




咄嗟に出た、嘘。



だってバレたら困るから……。




「ち、違う人にあげるものなの!



だから、ちょっと、迷ってて……」




あははっ……、と笑いながらキュッとその料理本を隠す。




「………誰に?」




怪しげに見られている気もするが、




「えっ、と……。と、友達!!」




必死にそう誤魔化した。



危ない、危ない…。



バレるところだった。



ホッと一安心したのと同時に、髪を手でクシャッと触って。



うっ、と罰が悪そうに翔から目線を外すと、




「………ふーん。」




スッ、と私に向かって伸びてきた翔の手。



その手が私の髪の毛を捕らえて、サラッと触る。




「………嘘も大概にしなよ」


「えっ!?」