「………藍。」




とても、低い声。



ビクッ、と自然と肩が跳ねる。



蓮くんがいなくなってから、



翔は険しい表情で私に近づいてきて、




「ほんと……無防備」




さっきのあれを取り消すように、



今度は翔が私を抱きしめていた。




「ご…めん……」




力が強くて少し痛い。



ほんと……なんだったんだろ。



蓮くんが女好きって事は翔から教えてもらっていて、



気をつけろ、とは言われてた。



あんな事を他の女の子達にもしてるんだなーって、



蓮くんはよっぽどの女好きなんだろう。




「………………」




その時。



私を抱きしめる翔の顔が少し曇っていた事を、



私は全然気づいていなかった。