「幼馴染だからよく分かっていると思うけどさ。
翔って、結構鈍感じゃん?
だから、期待させるような事をよく言うと思うけど、」
蓮は唯の耳元に、自分の口を近づけていた。
何を言っているのか俺には分からない。
何か吹き込んでるな……あの野郎。
コソコソと話す二人に、ジトッと睨みを効かせる。
何を吹き込んだのか分からないが、
唯は一時停止したかのように固まってみえた。
………なんだ?
「じゃあ、そろそろチャイム鳴るし帰ろ帰ろ」
クルリと向きを変えて俺に近寄る蓮。
「ちょっ…!お前、唯に何を吹き込んだっ!」
ガシ、と。
首元に腕を回されて締め付けられながらも、言葉を発す。
絶対、変な事言いやがったな…!
「んー?」
でも。蓮はニコニコと笑うだけで、答えようとしない。
コイツ……!
イラッときた俺は、蓮の腹を一発殴ってやった。
「ぐおっ」
っと。変な声を出してその場に崩れ落ちる蓮を無視し、
「唯!コイツの言う事は気にすんなよ」
目線を唯の元に戻したが、
未だに唯はピタリと固まったままで、返事が返ってくる事は無かった。



