「そんなにキスされんの嫌かよ」

「ちがっ…!嫌とかじゃなくて…」

「じゃなくて?」




屋上を後にして、ゆっくりと階段を下りていく。



3歩後ろにいた恵美がピタリと止まり、俺は下から見上げた。




「なんか、恥ずかしい、し」

「恥ずかしい?今さら?」

「今さらって!

…だって、な、なまとか久々過ぎて、ちょっと戸惑うというか…」




両手を頬にあてて「恥ずかしっ」と目を瞑る恵美に、俺は「ふっ」と鼻で笑う。




「なまって、なんかエロいな」

「エ、エロッ…!?だって言い方ないし!」

「はいはい」




急激に赤く染まっていく恵美の顔。もう湯気が出そうなくらい、真っ赤だ。




「慣れろよ、もう」

「頑張ります…」




真っ赤な顔でコクリと頷くと、そんな彼女に俺はスッと手を差し出した。




「これから毎日する事になるんだからさ」

「んなっ…!ま、毎日!?」

「当たり前だろ。ほら早く手、出して」

「んんんんーー…」




キュウッと下唇を噛み締めて、戸惑う様子を見せるけど、


俺のその手にゆっくりと伸ばされた小さな手は、俺の手を静かに包み込んだ。