「栄介!!」

「……ん、なに?」




ガタッ!と椅子が床を引きずった音と共に、俺の前の席に座る美羽。




「見て!見て見て見て!見て!!!」




夜更かしをしたせいか、眠たすぎる身体をゆっくりと持ち上げて、椅子に座り直す。


激しく俺の前にピラピラと揺らされている一枚のプリント。


それは実テの結果用紙だった。


実テは昨日終了し、俺も案外必死に勉強した結果、なかなかいい結果を出すことが出来た。




「……へぇ。赤点ないじゃん」

「でしょ!すごい初めて見たこんな数字!!」




キラキラと目を輝かせながら自身の結果用紙を見つめる美羽は、


片手に拳を作って「よっしゃ!」っと叫ぶ。



留年はまぬがれたらしく、とりあえず俺も一安心。


だが、最後の安心はまだ出来ていない。

……恵美。



そして俺は再び机に突っ伏する。



「あ、」



だけどそれを阻止するかのように、美羽が俺の身体を揺らした。


「なに?」と、少し不機嫌そうに顔を上げれば、



「あんたの大好きな子が待ってるよ」


コソッと俺に耳打ちする。

ちょいちょい、と指差すその先は




「っ……………」



俺がさっきまで考えていた子。

教室の中を気まずそうに覗き込む、恵美の姿があった。