「栄ちゃん…」
「なに」
「欠点とっちゃった」
「にしては嬉しそうな顔してるな」
見せられた紙、いやテストの解答用紙には
まぎれもなく何度見直しても欠点だった。
クラスまで見せに来たって事は
それなりに良い点数を取ったんだと思い込んでいた俺は大間違い。
「お前な…」
「私すごく勉強してたよね?なのにバツってなんでだろう」
「合ってたの一問しかなかったけどな。…家帰っても勉強した?」
「…、……えへ」
…してねーな。
マスク越しだが軽く微笑む恵美。
いやもうその笑みが意味不明。
ただしてないんだなって事は分かる。
「なんでしねーの」
「だって栄ちゃんにあんな愛の告白されたら…」
「してないしてない」
愛の告白ってなんだよ。
家帰ってもドキドキが収まらなかった
なんて言い訳するし、
なんか俺の責任のようにも感じるだろそれ
「次は頑張るよ本当に」
「前にも聞いたそれ」
で、この結果。
「……、…ああ、じゃあ分かった」
俺が居て
勉強に集中できないのなら
「実力テストまで離れよう」
1番それが効率の良い方法じゃないか。