-恵美side-





「(あ、栄ちゃんだ)」





ある日の三限目の事。




私達1組は移動教室で
生物室に向かっている最中だった。




1組はニ階で、栄ちゃんのいる7組は一階。
その一階に生物室がある。




栄ちゃんに会えるかな~




なんてちょっと期待しながらも階を下りれば、その期待は実現した。





「栄ちゃっ」





わーい、と心の中でテンションが上がり
手を振ろうと上げた手




だけど





「(あ…誰かと喋ってる。)」





呼びかけた名前を途中でとめて
手の動作もピタリと止める。




…何話してるんだろ。
あ、笑った。




ははっ、と笑う栄ちゃんを見て邪魔しちゃ悪いなとは思っても





「(誰と喋ってるんだろ)」





ついつい気になっちゃう。