「じゃあ帰ろっかー…って、いない。
逃げ足速いな~」
このまま一緒にいると
なんだか私が私じゃないような
そんな変な感覚になってしまうから
全速力で逃げてやった。
「はあっ………」
家に着いた時には
当たり前のように息が上がって
必死に酸素を取り込む。
(なんなのアイツ……)
突然目の前に現れた男。
目でしか表情なんて分からないし、
結婚して欲しいとか言ってくるヤバいやつなのに……
(なんで振り回されているんだろう…)
ドキドキと心臓が早くなっているのは
きっと走ったからだ。
きっとそうだ───…。



