酔いしれる情緒




「ネックレス、すごく似合ってる」


「っ……」


「これにして正解だったよ」





言って。春はネックレスに触れる。





「も…いいからっ……」


「……なあ、凛。」





見られていることも


触れられていることも


全てに胸が鳴るのはこの人だからで。





「凛のこんな姿、見ていいのは俺だけ」





ネックレスに指を引っ掛けられ、軽く引き寄せられる。



前のめりになった身体は春の唇に触れる前でピタリと止まって。





「凛に触れていいのは俺だけだ」





私の情緒を不安定にさせるのも


この世界で春しかいない。





春は妖艶な表情を浮かべながらも触れるだけの簡単なキスを私に落とした。


そしてスグ離れると、もう一度私を胸の中に収める。



聞こえてくる音は速度を増していて、春の身体はポカポカと温かい。





「……そろそろ、かな」


「え…?」


「戻らないといけない」


「あっ…」





忘れてた。なんでそんな大切なことを忘れていたんだろう、私は。




そのくらい夢中になっていた、なんて。

恥ずかしいから考えたくないけど。





「……探してたよ、橋本さん達」


「だろうね。

さっきからずっと携帯振動してて執拗いし」





どうやらまたマナーモードにしているらしい。

前それで橋本さんに怒られてたのに。




ほんと……問題児。